「あーる de 右京」シリーズ初の戯曲を使った表現講座、その13「戯曲を声に出して読んでみよう Let's シェイクスピア」3日間の講座が終了しました。
かつて当会館で開催していた『京都熟年アカデミー』という舞台表現講座(ミュージカル・人形劇・朗読劇)の卒業生や、他のシニア劇団等ですでに活動している方のほか、今回が全く初体験!という方総勢18名が俳優で演出家の須川弥香さんの指導を受けました。
【第1日目:1/12(土)】
自己紹介とこの講座で呼ばれたいニックネームをそれぞれに宣言したあと、早速体を解(ほぐ)す体操に移ります。
手や足をユラユラ揺らすだけでなく、今の気分を体の動きで表現したりメチャクチャ語で仲間と会話してみたり。。。
限られた時間でこのメンバーで作品を作るためには、この際恥ずかしがってなどいられません!
ふだんしないようなおどけた格好も出来てしまいます。
続いて本読みをスタート。坪内逍遥訳の『マクベス』は少し時代がかった口調で書かれているので、現実離れしてかえって演じやすいようです。
最後に配役を決めてこの日のメニューは終わり。
講師の須川さんは、「18人の熱いエネルギーと向き合って疲れたけれど面白くなってきたわ」と目を輝かせていらっしゃいました。
【第2日目:1/19(土)】
2日目は朝の10時から夕方16時すぎまでみっちり。
まずは体をほぐして、シーン別に立ち稽古を行いました。
このシーンでは誰がどこに立ち何を見てどこに向かって話しているのか?
お互いに思いを共有していかねばお芝居が成り立ちません。
相手を信用し、自分を信用してもらうことが大切だと分かります。
翌日のおさらい会の会場を会議室からホール奥のホワイエに変更し、広い空間をどうやって使うかまで考えました。
短時間で空間を使って表現するのはなかなかに骨の折れる作業です。
受講生の皆さんは五里霧中暗中模索紆余曲折!
思い通りに出来ないもどかしさもあり、弱音を吐いて帰途につく方も。
そんなみなさんに須川さんから、励ましの言葉がかけられました。
「『演劇』を英語で言うと『play』です。『play』と言えば『遊び』!3日間ではシェイクスピアを完全に作ることは出来ないし、今回の講座の狙いはそれではありません。戯曲というツールを介して、他者との関わり方自分の立ち方を考え、いかに楽しく遊ぶか?を考えることです。大いに遊びましょう!」
【第3日目:1/20(日)】
この日も朝10時に集合!zzz
ちょっとした合宿気分です。
早速本番会場のホール奥ホワイエに移動してシーン別に立ち稽古を始めました。
自分の役に必要だと思う衣装または小道具を1点用意して、アクティング・エリアに立ちます。
最初はモヤモヤしていたシーンも、徐々に風景が見えてくる。
魔女たちの不気味な予言、マクベスの逡巡や夫人の胸算用など、現代社会に生きる私たちと何ら変わらない欲望のゆらぎが描かれ始めてきました。
いよいよ公開おさらい会がスタート。
スポットライトが用意され、顔に光が当たると表情まで良く見えます。
ご近所の方やご家族も数名来られ、緊張が高まりました。
たった3日間の稽古でしたが、『マクベス』第1幕合計5場は止まることなくスムーズに進み、受講生たちは自分の役に没頭して演じ切った達成感とともに笑顔になりました。
これから恐ろしい悲劇が始まる予感を残して本番が終わりました。
来場者からの感想も受講生のみなさんを称えるもので、私たちスタッフも「ここまで出来るのか…」と感嘆しきり。
反省会では、演じてみた感想や自分のバックグラウンドなどを銘々に語り、講師の須川さんからも最大限のお褒めの言葉をいただきました。
また、「この続き、2幕3幕4幕と演じてみたい!」との声が寄せられました。
演じることを通じて、作品を読み解く、表現を考える、コミュニケーションを実践する、仲間を作る、そして遊ぶ!
開講当初の目標を大きく超えた成果が得られた3日間となりました。