昨年11月から2月までの3か月間、全7回にわたって開講した「あーる de 右京 その16 戯曲を声に出して読んでみよう Let’sシェイクスピア 続編」。講師の須川弥香さんのご指導のもと、受講生の皆さんが戯曲と向き合った7日間の様子をお届けします!
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【第1回目:11/10(日)】
まずは自己紹介。これから一緒に受講する仲間たちと、お互いを知るためのさまざまなワークをしました。最初は緊張して硬い表情でしたが、体を動かしたり声を出したりするうちに、徐々に打ち解け笑顔が増えてきます。
メンバーは10代から70代の方々。世代を超えて集まったこのチームで1つの作品に取り組む、これは刺激的な体験になりそうです!
最後にみんなで戯曲を声に出して読んでみました。今回須川さんがこの講座のために編んだ坪内逍遥の訳がベースの『マクベス』の台本は、古い言い回しが多くなんだか難しそう・・・?でもその分、読み解きがいがありそうです!
この日の宿題は、自分なりに『マクベス』を読み、そのうえでやりたい役を考えてくることです。
わくわく、でもちょっぴり緊張の第1回目が終わりました。
【第2回目:12/1(日)】
第1回目を踏まえて講師の須川さんから今回の講座のキーワードが2つ提示されました。
まず1つ目は、演劇は「play」=遊びである、だから子どものころのような自由な発想を持って遊んでいいんだということ。
2つ目は、演じるうえで「リアクション」がキーワードとなること。これは自分自身のアクションだけに注目するのではなく、他人のアクションを受けた「リアクション」を意識することを大切にしようということです。登場人物の心情や、セリフが発せられるにいたる動機を読み解くうえで大きなポイントとなってきます。
その後、身体を揺らす体操や、2人1組になって架空の物体(エネルギー)のキャッチボールなどをしました。
後半は戯曲を読む時間です。この日は配役を決めました。この講座ではマクベス、マクベス夫人役の人たちは1つの役を3人で演じます。性別も年代も全く違う人物になれるのは演劇の面白いところですね。
2回目の宿題は今回の『マクベス』を読んでイメージした単語をたくさん集めること。おさらい会での演出で使われます。
【第3回目:12/21(土)】
まずはワークからスタートしました。身体を揺らす体操や、2人1組になってエネルギーのキャッチボール、音に反応する人形のようになってみて相手の出す音に反応したり、自分の出す音で相手を動かそうとしたり・・・。
また、自分の中に太陽のエネルギーがあると仮定して、そのエネルギーによって動かされるというイメージのもと動いたりもしました。これにより、自分の意志ではなく別のエネルギーによって動かされることを体感します。
どのワークも「リアクション」の力が試されます。
ウォーミングアップが終わると、戯曲を読み込む作業に移ります。相手からきたセリフに対して何かを受け取り、そして返すことを意識しながら丁寧に読み解きます。
そして宿題の『マクベス』を読んで思い浮かんだ言葉を1人ずつ発表しました。
【第4回目:12/22(日)】
いつもの体操やエネルギーのキャッチボールの他に、鏡の動きをしました。2人ずつペアになってお互いの動きを鏡のように真似します。意思を持って動く人とその人を真似する鏡の人。はたから見てどちらが動きを真似しているのか分からないくらいシンクロすることを目指します。
ウォーミングアップを終えたら、机を並べて戯曲の読み解き。ひとりで読んでいるだけでは見えてこなかった登場人物の心情や風景が、みんなで読んで意見を出し合ううちに見えてきます。
皆さんの緊張もほぐれて、いろんな意見を出し合える雰囲気になってきました。
【第5回目:1/13(月・祝)第6回目:1/26(日)】
ウォーミングアップを終え、いよいよ立ち稽古開始です!
人のセリフをよく聴いたうえでセリフを発することを意識しながら劇づくりを進めていきます。
衣装を身に着けてみて、それに動かされるという体験をしました。
同じ服でも、ただの服と血の付いたイメージの服とでは、着方や纏う人の表情も変わります。
今回の講座では、衣装や小道具は自宅などから持ち寄った身近なものを利用しています。必要なのは自由な発想や想像力です。
『マクベス』に出てくる血まみれの手も、お手製の血糊を使って表現しています。なんと材料は紙!おもしろい!みんなで講座の合間に切り刻んで準備しました。
【第7回目:2/2(日)】
いよいよ講座最終日。
この日は稽古の成果を公開おさらい会として発表します。実はシーン全てを通しで演じるのはおさらい会が初めて。みなさん本番に向けてそわそわ。最後の稽古に取り掛かります。
14:00 公開おさらい会、開場。観客が会場のリハーサル室に来場し始めます。
14:30 開演。7回の講座を経て、どんなマクベスになるのか、ドキドキの本番です。
おさらい会の概要・マクベス2幕のあらすじはこちらをクリック!
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←ホワイトボードに書かれているのは、以前宿題に出ていた、『マクベス』を読んでイメージした言葉たち。
呪い、恐怖、うらぎり、悲劇の幕あけ・・・など不穏な言葉が書かれています。
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おさらい会終演後には観客を交えたアフタートークを行いました。観客からの質疑応答に続き、受講生自身が今回の講座を通して難しいと感じたことを1人ずつ語ります。皆さんとっても素敵な表情です!
アフタートーク後、おさらい会の映像を見ながら、改めて講座の振り返り。7日間一緒に過ごした仲間たちともこれで一旦お別れと思うとしんみりします。
『マクベス』という戯曲、そこに生きている登場人物、一緒に劇を作り上げていく講座の仲間、そして自分自身と向き合うことで、それぞれに発見や変化のあった3か月でした。
戯曲を読み解く、立体化する、それは決して簡単なことではありませんでした。ただ表面的に読むのではなく、場面や行間に潜む思いを想像し、その上で相手とどう関わりながら自分を表現するか。その道のりには困難や葛藤もあったと思います。一方でいつもの暮らしの中に活かせるヒントもたくさん見つかりました。
この講座に参加してくださったみなさんにとってこの演劇体験が、かけがえのないものとなりますように!